七転び八起き

観劇記録、ハロプロのこと。たまにLGBTとお仕事の話も。

【読書感想】私にふさわしいホテル〜夢を追いかける人に捧ぐ小説〜

◼︎また面白い小説を読んでしまった…。

いやー、面白かった。
柚木麻子さんの小説、初めて読んだ。
タイトルの素敵さと、帯にでっかく、
「私に文学賞をください!!」
って書いてあるのが面白くてついつい買ってしまったけど、当たりだったわ〜。

 

私にふさわしいホテル (新潮文庫)

私にふさわしいホテル (新潮文庫)

 

 何が良かったかって、

一つ目に設定が面白い、
二つ目に登場人物が魅力的、
三つ目に連作短編の良さを引き出しまくった、ちっちゃい波が合わさって大きな波になるような爽快感。
 
この三拍子揃っちゃったらもう、何にも言えないでしょ!
 

◼︎文学少女にオススメの文壇の内側暴露本

 
作家ってなんかミステリアスな存在なのよねぇ。
私自身、高校生のころは作家に憧れる文学少女でございました。
 
だからこそ、作家先生の性格やら趣味やら、なんでもいいから知りたいし、
知ったかぶりっこで「あの人ってこうだよねー」って語りたくなる欲求があって。
多分好きな作家に関してはみんなそうなんじゃないかな。
 
だから、高橋源一郎先生の官能小説か(樋口一葉とか森鴎外とかが出てくるわりとめちゃくちゃな展開の小説)とか、文豪ストレイドッグス外伝綾辻行人VS京極夏彦(もともと文豪が戦う漫画だったけどとうとう現代作家まで出してきた)みたいな作品が、
いくつも出てくるのよね。
 
本作も、それに近いところがある。
舞台は、まさに文壇。
主人公は文学賞を受賞したものの、
同時受賞者が元・人気アイドルだったものだから、
全く注目されず、単行本も出せずにいる超不運少女。
 
冒頭から、
なけなしのバイト代をはたいて、年に一回、
誰にも求められていないのに山の上ホテルに自主的にカンヅメになりにいく姿が、
ちょっとお馬鹿でかわいいんだけど、なんともせつない。
 
この不運少女が行く先々で、
山本文緒だの朝井リョウだの、
売れっ子小説家たちがチラチラ顔を出すわけですよ。
本好きを自認する人にはきっと楽しい。
 
いや、楽しいだけじゃなく、
 
『くっそー、この人の本、気になってたのに読めてなかったんだよなー!
読んでたらこの本絶対十倍は楽しかった!!
きいー悔しいー!!
絶対近いうち読んでやるー!』
 
ってな感じで読書欲が燃え上がってしまうと思う
(こう文章に落としてみると、なんかマゾ的な楽しみ方だな…)
 

◼︎超不運少女の周囲はみんな個性的(ていうか主人公自体もあり得んくらい個性的)

 
そんな超不運少女を取り巻く周りの登場人物も魅力的。
 
・ガタイ良くて荒っぽくてS気質で、
でも仕事となると超細かく原稿に赤入してくる眼鏡編集者。でも奥さんと娘にはめろめろ。
(こういうの、女子は絶対好き)
 
・古き良き文壇の象徴のような、色ボケ老害ロマンスグレー
(いちいち主人公のことを大人気なく妨害してくるのが、途中から可愛く見えてくる)
 
・主人公の宿敵、元アイドルで落ち目のお色気女優。
 
こんな感じ。
 
でもねー、何より言いたいのは、主人公の魅力かな。
ほんっと面白い子なんだ。
 
目的のためならどんな汚い手も使う女。でもその『どんな汚い手も』がなんか憎めないんだよねぇ。
 
ロマンスグレーの大作家先生の原稿を落とさせて自分の原稿を雑誌に載せさせるために、三島由紀夫の幽霊のふりして電話かけたりとか。
 
しかも、激ヤセと激太りの差が激しくて、ぽっちゃり可愛いときもあれば、神経質そうな眼鏡美女の時もあるという…。
 
ほんっとーに、面白い。
 

◼︎おまけに一個一個の短編がちょう面白い。全部合わせるともっと面白い。

 
本作は短編集なのだけど、
この超魅力的な主人公が毎回毎回、
小説家になくてはならないお話をひねり出す力と、演劇部で鍛えた演技力と、
とんでもない胆力で、
チャンスを掴みとったり、人を陥れたり、救ったりしていくわけですよ。
 
もー毎回毎回、カタルシスを得られちゃうわけですよ。
次の快感を得たくて、もーページを繰る手が止まらないよね。
 
そして賞が進むごとに彼女がどんどんステップアップして、
どんどん売れっ子になってく姿が、
隣でそれを見てる彼女の友達になったみたいに、
ドキドキハラハラ、でも、なんだか誇らしい気持ちになるのよね。
 

◼︎夢を追いかけるのって、綺麗事じゃない

 
この小説を読み終えて、私はほんっとに、こう思った。
夢をほんとに叶えるひとってさ、
きっと、ある種のしつこさがないといけないんだなって。
 
努力して、でも世の中は理不尽だから報われるとは限らなくて、
嫉妬して、ちょっと成功しそうになったらだらけて、
でもまた冷水を浴びせられて…。
 
そういういろんなことを、
同じくしつこくしつこく付き合ってくれる誰かと一緒に、
しつこくしつこく、乗り越えていくしかないんだなぁって思った。
 
自分を振り返ってみても、
ほーんと、ちょっとのつまづきで、
呆れるほど落ち込むし、すぐ諦めたくなる。
 
でも、それじゃ、負けちゃうんだな。
この主人公みたいに、本気でやってる、
超しつこい人には。
でも、本気で頭フル回転させて、
捕まえにいったら、掴める夢もあるかもしれないんだなって思った。
戦いは終わらないけど、戦うことの美しさを、主人公が見せてくれる。
 
私も、ちょっとは粘ってみなきゃなって思った。
 
だから、夢を追いかける人こそ、
この小説を読んでほしい。
きっと元気が出るよ!闘志が湧くよ!
 
さーて、今日はここまで!
おやすみなさーい!