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七転び八起き

観劇記録、ハロプロのこと。たまにLGBTとお仕事の話も。

堺雅人の長髪悪役が尊い、ゲキシネ「蛮幽鬼」

東劇で、ゲキシネ蛮幽鬼を見てきたよ!
やっぱり安定の新感線クオリティ。
そして主演の上川隆也さんと堺雅人さんがもーう最高にかっこよかった!!
稲森いずみさんもめちゃ美しかった!!

 

あらすじ

 

蛮幽鬼 DVD 通常版 

闇の友が囁く――
讐の道を進めと。
その終わり無き荒野へと続く道を。

遠い昔。
ようやくひとつの政権で統治され始めた島国・鳳来(ほうらい)の国にまつわる物語。無実の罪で監獄島に幽閉された《伊達土門》(だてのどもん)。10年の歳月が流れてもなお、濡れ衣を着せた者たちへの復讐を生きる糧にしている。監獄島の奥深くに捕らえられていた《サジと名乗る男》の力を得て脱獄、復讐への道を着実に歩む土門の前に立ちはだかったのは、かつて将来を誓った女、《美古都》(みこと)だった――。

  (蛮幽鬼|ゲキ×シネ - 「演劇×映像」の新感覚エンターテインメントより引用)

 
「闇の友」とかまじ厨二病!!嫌いじゃないよこういうの!!
 もともとモンテクリスト伯をベースにしたお話なのだけど、よりスケール大きく、より下衆い感じになってて(褒めてる)、ものすごく感情が揺さぶられた。
 
ここからネタバレあり感想なのでご注意ください。
 
 

キャラクター

キャラクターは新感線らしく、陰影が深くて個性が強い。
主人公が新興宗教の教祖になるとかなかなかないよね!
 
白長髪まじ萌える。復讐の鬼、伊達土門(だての どもん)
上川隆也さん演じる主人公、土門。
私もう上川さんまじ好きだったんだけど、今回の役でより一層好きになりました。

留学先で友人に裏切られ、親友を殺した罪で監獄島に送り込まれた土門は、
白髪になるほどに苦しめられながらも恨みをエネルギーに10年を耐え抜く。
そして、隣の牢に厳重に閉じ込められていた最凶の殺し屋、サジの導きに従って監獄島から脱獄する。

その後、国に戻り、飛頭蛮(ひとうばん)という名の新興宗教の教祖として、貧しい民に施しをし、留学先で彼を陥れた友人たちが広めた、国教の「蛮教」とは似て非なる「蛮新教」を布教し始める。それが彼の復讐の始まり。
 
もうね、上川さんは、外国への留学時代、監獄島時代、飛頭蛮の時、復讐の鬼となってかつての友人たちを殺しに行くときの4回お着換えされるのだけど、監獄島以外のちゃんとした衣装はすべてスタイリッシュかつセクシーに着こなしてくださるので、ほんとにいい体してるなー眼福眼福という感じ。教祖服ですらイイ!とくに好きなのは復讐してる時の黒衣装。元の作品の「モンテクリスト伯」っぽい印象の詰襟でとっても素敵でした。
 
そして、白髪!!!長髪!!!しかも宝石っぽいので後ろ結んでる長髪!!!!
最高に萌えた!!!
特に戦ってる時に揺れる長髪!!!汗で顔に張り付く前髪!!!最高!!!
 
でもそんな素敵なおじさまも、性格的には監獄島の生活で歪みきっていて、
すべて復讐のためだけに動き、恋人だった美古都のことすら悪しざまに罵る。
それでも、無条件に堺雅人演じるサジを「友」だからと無条件に信じてるとことか、
監獄島に投獄される前の彼の人のよさが随所に現れていて一層悲しくなる。
 
そういえば飛頭蛮って頭だけが飛ぶ妖怪の名前だよね。
どんな気持ちでそんな名前を自ら名乗ったんだろう。
首だけになっても、憎い復讐相手の喉笛に食らいついてやる的思いだったら萌える。

最後彼はすべての復讐を終えて死ぬけれど、満足だったのかな…。
最初に友人を殺したときすらつらそうだったのに。
最後には和解できた美古都が、大王として一人で立ってゆく力になれたことが、
せめて彼の心を救っているといいのだけど。
かなしい、復讐に狂わされた人だったなあ。
 
堺さんが長髪殺し屋に…!凄腕殺し屋サジ
いやー思った以上にね、長髪が似合ってた。堺さん。
そして殺陣がキレキレだった。
 
サジは黒髪長髪で、にこにこしながら、風のように人を殺しまくる。
自分を陥れようとしたという理由で一族の長や大王を殺害した過去もある。
完全にヤバい人である。
そういう人がさー、土門のために「俺が道を切り開こう。お前にとって邪魔な人を殺してあげる」的なことを言うんだよ!悪魔の誘惑的なやつね…!弱いのよこういうの!!ずるい!!しかも土門への執着が結構半端ないから腐女子的勘ぐりもしちゃうわけよ!!最高かな!!!
 
(とはいえ、自分の幼稚な目的のためだけに土門を利用してただけ、って描かれていたけどね…。でも信じていた人に裏切られてひどく傷ついた過去を持つ者同士、並々ならぬ共感は持ってたと思う。彼自身は「傷ついた」ことは認めないだろうけど)
 
最後、彼が実は、土門の友人を殺していたことがわかって、土門とサジが戦う。
でもここはちょっともやっとする。
だって、サジは任務として土門の友人を殺したわけであって、確かに手を下したのは彼だけど、真の黒幕ではなかったわけよね。そして真の黒幕はサジが殺してたわけで。サジに対して復讐をすることで土門は本当に想いを遂げられたのかな…。やりきれなさが残るだけじゃないのかな…。
 
最後の戦いで、サジが土門に本当の名を聞かれ、「名前なんかない」「お前にはあるのか。本当の名前」って投げ返したときの、妙にやわらかくてやさしい調子の声が心にずっとひっかかってる。それまでは堺さんには珍しく、ちょっとガラの悪い感じのしわがれた声色で、悪役らしいしゃべり方をしていたのにここだけ、ぜんぜん違う。

殺しのための道具として育てられ、名前すら与えられなかったこと。それでも忠実に、殺しの精度を磨き上げてきたのに、彼の力を恐れた長老から殺されそうになったこと。本当に道具のように。その「人間として扱われないさびしさ」がこの一言で、瞬時に感じられた。
つらいなぁ。最初から「人間じゃなかった」彼が、復讐のために「人間じゃなくなった(本当の名前を失った)」土門に投げかけた言葉だと思うとほんと切ない。
そのさびしさを、「殺す」という表現の手段しか与えられなかった彼は人を殺しまくって表現してきたけど、土門に出会ってはじめて、こんなやわらかい、「お前だって同じだろ」と言いたげな言葉と声で、表現できたのだなぁ。それで、土門からも「そうだな」という共感の言葉が返ってきたのだなぁ。そう思うと、彼の最期は、はじめての「敗北」のつらさだけじゃなかったんじゃないかなぁ。
 
そのほかにも、稲森いずみの儚げな魅力とか、稲森いずみのパパの左大臣役、千葉哲也さんの変な色気のある狸おやじっぷりとか、早乙女太一の相変わらずな美しい殺陣とか、高田聖子さんの面白くも人間味あふれるさすがのキャラとか、いいキャラばっかり。 
 

切ない結末、でも面白かった…!

土門は復讐を遂げるけれども、これまでの騒動の責任をとって、美古都の手にかかって死ぬことを望む。ようやく、すれ違いから誤解を重ねあっていたのが、解けたのにね…。こうする以外ほかにないところまで来てしまっていたのが悲しい。「もしもあの時、こうじゃなかったら」って、もしもの未来を考えてしまう。土門の死んだのち、泣きながら民に語り掛ける美古都の、痛々しい美しさが今も目に焼き付いている。

悲劇のようにも、ハッピーエンドのようにも見える終わり方。 
何度でも見たくなる、癖になる終わり方だった。
爽快な勧善懲悪ものより、時に悲劇や、割り切れない終わり方にどうしようもなく惹かれてしまうのは、なんでなんだろうね。
登場人物それぞれの感情に浸りきって見るのがものすごく心地よい舞台。とてもおすすめ。
 

 

 パンフほしいよー。