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七転び八起き

観劇記録、ハロプロのこと。たまにLGBTとお仕事の話も。

物語の中だって、ビアンはもう少し幸せになってもいいはずだ

このところいくつかの物語で、たまたまビアンさんが出てくるものに連続で触れたのだけど、どちらも想いを告げぬままひっそりと相手の恋愛を見守る系ビアンだった。

 
一つは名作「グランドホテル」。映画版がとても有名らしいけど、私は舞台版のやつを見た。もう一つは、「ホテルモーリスの危険なおもてなし」という小説。

 

グランド・ホテル [DVD] FRT-004

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ホテルモーリスの危険なおもてなし (講談社文庫)

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群像劇ものでよく見かけるビアンな登場人物のパターン

 
二つの作品のビアンな登場人物の共通点はこうだ。
 
  • 印象深い役ながら、脇役である。
  • わりと地味な出で立ち。
  • 心に秘めた恋を長いことしている(数十年レベル)
  • 恋の相手の一番近くにいるポジション(親友とかマネージャーとか)
  • 相手は普通にヘテロさんである。そしてその人の恋心には気づいていない。普通に男性と恋をしている。それを親友として応援している。
  • でも、いざという時は相手の人生を支えたいと本気で思っている。
  • 最後まで想いを告げずに終わる
こんな感じで、どちらも結ばれずに終わる。でも恋ゆえにめちゃくちゃ相手に献身するのよね。うーむ、報われない。
 
 

ホテルモーリスのビアンさんの場合

※ここからネタバレ。『ホテルモーリスの危険なおもてなし』は、「誰がビアンなのか」を言っちゃうとストーリー上めちゃくちゃ重要なネタバレになっちゃうのですが、こっから先、是非とも伝えたいシーンがあるので、読んでみようかなという方はここから先は見ないことをお勧めします。
 
 
ホテルモーリスのビアンさんは特に切ない!脇役の中の脇役なので、直接出てくることもないのだけど、とても印象的で。
 
彼女は昔から同級生に憧れていて、ずっと親友として過ごすのだけど、ある時、息子を残してその同級生が死んでしまう。
同級生は、実はある実業家の妾。その実業家は勢いで息子を引き取るものの、まだ幼いその子を持て余す。それでもともとその同級生に憧れていた彼女が引き取ることになるのだ。
 
ずっと好きだったひとの子供だから、彼女は、父親である実業家からほんのすこしの養育費しか支払われなくても自分の息子であるかのようにその子を育てる。
 
時々彼女は海辺で、息子と散歩してる途中蹲って動かなくなる。死んだ同級生のことを想って…。でも、彼女もまた病気で、若くして亡くなるのだ。
 
切ない…切ないよぉ…!
美しいけど切ない!!
 
 

もっと物語の中でもビアンさんを幸せにしてあげてください。後生だから。

こういう切ないのも嫌いじゃないんだけどさぁ。こういうのに触れるたび『またか…』と思うんだよねぇ。ちょっと食傷気味。
 
漫画の世界だといい百合はたくさん出てきてるのだけど、小説とか映画とか舞台だとまだまだな気がしてるのよね。
 
特にこういう群像劇もの!群像劇ものみたいに、いろんなひとの人生の片鱗を見せる小説の中で、なんとなく不幸なビアンがよく出てくるのってさ、それが代表的なビアンのイメージだからでしょ。
 
ビアンをメインに据えた物語なら、丁寧に内面の変化を描写できるけど、群像劇は一人一人について語る分量がどうしても少なくなるからステレオタイプなビアンが出しやすいんだと思う。
 
そういう薄幸でちょっと驚きを伴う、『実はこうでした…』的な人を出しとくと印象に残りやすいしさ。でもそうやって使われるのはもう飽き飽き!
 
例えばこんなビアンが一人か二人出てくる群像劇ものを読みたい。
 
  • 自信満々で女子に迫りまくる肉食系フェムなビアン
  • 秘めた想いを言わざるを得ない場面があって、その結果幸せを勝ち取るビアン
  • 淡々とカミングアウトしてくる『それが何か?』的ビアン。そしてセクハラ発言してくる年配男にパンチをお見舞いしてほしい。
  • 年配ビアン(カップルだとなお良し)
  • 別にカミングアウトもしないし、カップルだとも言及されないけどなんかイチャイチャしてる女子二人(セーラームーンのはるみち的なやつ)
あーあー。不幸にならない強いビアンが出てる物語を楽しみたい。それも、ヘテロもビアンもゲイもトラさんも、そういうのよくわからんってひとも、みんな普通に混ざってる中で、がいい。百合ものの漫画みたく女子しか出てこないやつじゃないとこで、見たい。
もはや自分で作るしかないかなぁ(笑)