七転び八起き

観劇記録、ハロプロのこと。たまにLGBTとお仕事の話も。

舞台俳優より映像作品の俳優の方がすごいという誤解

舞台を見て初めてわかったこと

少し前に彼女が、好きな俳優について舞台に馴染みのない人から聞かれたそうです。わたしが好きなのは舞台俳優だよ〜こういう人だよ〜と教えたら、案の定相手はわからなくて、「あんまテレビとか出てないんでしょう?」「舞台俳優って言っても主演じゃないんでしょ?」って聞かれたそうです。わたしは彼女のその時の反応を直接見ていたわけじゃないのですが、彼女のいいぶりから想像するに、多分ドヤ顔で、「テレビも出てるよ」「舞台では主演だよ」と答えてやったらしいんです(笑)

その話を聞いてふと思ったんですが「テレビ出てる人の方が舞台俳優よりすごい」「舞台俳優はテレビや映画で売れないから舞台やってる」みたいな誤解、ありますよね!正直わたしも舞台にハマるまでは誤解してましたもん。

でも舞台にハマってから気づいたのは、映像作品に出てたらそりゃあ見る人の母数が増えるわけで、それによって有名になってるだけで俳優さんの実力や売れっ子度とは完全になんの関係もないっていうことです。舞台俳優さんの中でもちろんテレビや映画に出たい人もいらっしゃるでしょうけど、舞台が好きで仕方なくて舞台俳優やってる方もたくさんたくさんいらっしゃいますし!

なのでそういう偏見に出会ったら積極的に「たくさんの人に知られてなくたって物凄い人はいるのだ!!そりゃもう沢山!!どっちがすごいとかないから!!」ということをちゃんと伝えたいなと思うんですよねー。とはいえ現実は、熱弁を振るうだけの時間がなかったり適切な言葉がパーンと出てこなかったりして歯がゆい思いをするんですけどね。

 

最近読んだ舞台俳優と映像作品の俳優に関する記事に納得

そんなことを考えながら見つけた記事がこちらです。キャラメルボックスの脚本・演出を手がける成井豊さんのインタビュー記事です。

以下、一部引用です。

―最近のテレビドラマで活躍されている役者さんに舞台出身の役者さんが多いように感じます。テレビ出身と舞台出身の役者さんの違いを教えていただけますでしょうか。

成井豊氏(以下成井):鍛えられているという一言に尽きると思いますね。演劇って、一本のお芝居をするのにひと月は稽古をするじゃないですか。ドラマのワンカットって2、3回で撮っちゃうわけですからね。

(中略)

成井:テレビのプロデューサー、ディレクターから聞きましたが、「映像出身の役者というのは指示出しをしないとやってくれないけど、演劇出身の役者はどんどん自分で作るし、他の役者と相談して芝居をつくっていってくれるからありがたい。だからつい舞台役者を呼んでしまう」と言っていましたね。

この部分を読んで、舞台俳優さんって映像の現場でも重宝されるんだなーとなんだか自分ごとのように誇らしく思うと共に、鍛えられる理由にすごく頷いてしまいました。たしかに舞台俳優さんの拘束時間ってすごく長いし、その中で試行錯誤しながら、みんなで話し合いながら一つの作品を作っていくんですものね。わたしは演劇を作る立場には立ったことがありませんが、演者さんや演出家さんのブログやツイッターから、毎日毎日議論しながらその人やその作品を作ってゆく真剣な様子がひしひしと伝わってくるので、わかるわかる!と思ってしまいました。

さらに、「自分で作る」っていうのも納得がいきます。だって、演劇の脚本も舞台のセットも、ものすごく情報量が少ない。その上、彼らは自分が喋っていない場でもそこに存在し続けないといけないんです。映像作品だったら、カメラが向いていない間は素の自分でいいかもしれません。でも、舞台の場合は人に見られる空間にただ立って存在していなきゃいけない時もあります。そんな時、どう「在る」べきなのか?っていうのを考えなきゃならないんだと思うんです。その人は一体どんな人で、その人ならばそのシーンで誰に目を向けるのか、手はどうしているのか、背中を向けるのか、正面を向いているのか、立っているのか、座っているのか、どんな表情なのか…。そんな思考を繰り返していくうちにいつの間にか考えて役を作ることが演技をする時の癖になっていくんじゃないかと想像します。

 

バッターボックスに立つということ

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鍛えられる理由として、「ライブである」ということもあると思うのです。生の、替えがきかない一発勝負。それが、公演期間の数日から、ものすごく長いと数ヶ月間、しかもマチネ・ソワレ(ひどい時は1日3公演とか…)の1日2回とかあるのです。そりゃあ演技も達者になる、と思います。1回1回、ダイレクトにお客さんの反応が伝わってくるんですもん。その数だけ喜びも挫折もあって、毎回次はこうしてやろうって思うとしたら、物凄い成長をすると思うんです。

わたしが営業の仕事を始めたばかりの頃、よく先輩に、練習をたくさん積むことももちろん大切だけれどバッターボックスに立つ回数もすごく大事だよ、と言われていました。その時の感じと同じだなと思います。

ロールプレイも営業の勉強も、しようと思えばいくらでもできるんですが、本番の打ち合わせで生身のお客さんに出会うと、予想しない反応があることもたくさんで。予想してた反応なのに、自分が想像してたよりうまくやれないこともたくさんで。

だから、バッターボックスに立つことは、すごく怖いことです。良くも悪くも「今の自分の実力」があらわになってしまうから。でも、いつだって「今の自分」を見つめることからしか、成長ってないんだと思うんです。舞台俳優の皆さんは否応なしに、公演期間中1日2回、毎日のようにバッターボックスに立たされて、毎日自分を見つめざるを得なくて。怖いけど、毎日もっとうまくできる方法はないかって考えるし、それをすぐ、翌日本番の舞台で試すことができるんです。きっとその繰り返しで物凄い成長を遂げるんだと思います。すごく辛いけれど、うまくいった時はとんでもない嬉しさなんだろうなぁと想像します。わたし程度のヘボヘボ営業でも、うまくいった時は脳内麻薬出まくり!みたいな状態になりますもん。

 

他にもある、舞台俳優のすごさ

他にも舞台俳優さんの凄さってあって、例えば今の時流だとストレートプレイばっかりやるわけにもいかなくて踊ったり歌ったりする舞台にも出ることがあったりとか。2.5次元周りの若手俳優さんたちってほんとすごいですよね!歌えて踊れて演技もできることを要求されて、CDまで出しちゃうんですもの。皆さん一体どれだけの努力をしているのかと気の遠くなるような気持ちです。

当意即妙なアドリブも舞台俳優さんのすごさですね。日替わりネタを要求されることもありますし、生の現場でうっかり間違えた人をうまいことフォローする場面にも出会います。もちろん苦手な方も得意な方もいらっしゃると思いますが、すごいなぁと。

体調管理みたいな基本的なことも物凄いと思います。長い公演期間絶対休めなくて、声の調子が悪いとか言ってられらないところで一日も休まずやるんですもの。体調の維持の努力も、集中力も、物凄いと思います。

 

結論

結論、舞台俳優さんの凄さを知らない人は絶対損してると思います!映像作品の俳優さんに負けず劣らず、すごいよ!あの凄みを、ぜひ体感してほしいです。そして、こういう記事を書いてみて、舞台俳優さんの凄さを支える演劇という仕組みの面白さも改めて感じました。

テレビ出てないんでしょー?って言われた時にだからなによ?舞台俳優さんってこんなすごいのよ!舞台、面白いよ!って語れるようになりたいなぁと改めて思いました。