七転び八起き

観劇記録、ハロプロのこと。たまにLGBTとお仕事の話も。

【観劇感想】ファラオの墓 砂漠の月編(ネタバレあり)

ファラオの墓 砂漠の月編

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見てきました。毎年恒例の演劇女子部、モーニング娘。'17主演回。
太陽の神殿編はこれから見るのでまだわからないのですが、砂漠の月編に関しては正直言ってちょっとモヤモヤしました。みんなすごく頑張ってましたし、全員演技も歌もスキル高まってましたし、キャスティングも合ってたと思いますよ。衣装やセットもなかなかに豪華。でもモヤモヤします。なぜって脚本と演出がイマイチだったなと感じてしまったからです…。
わたしがハロヲタ界隈に足を踏み入れたのって舞台から(ベリとアンジュの我らジャンヌが最初)で、もともとのアイデンティティは舞台ヲタなのですよ。ハロヲタとしては正直言って新参です。その舞台ヲタとしてのわたしがずーっとモヤモヤしているんです。

どんなにキャストが良くて、頑張ってても、演出と脚本が合わなかったら「良かった」とは言えない!!(ごめんね…みんな…)

そんな気持ちです。


ここから、ネタバレありの感想行きます!

 

ストーリー

お話は、古代エジプトが舞台の架空戦記。

今から四千年ほど前、エジプトは戦乱の時代であった。
小国エステーリアは強大な隣国ウルジナの国王・スネフェルによって滅ぼされてしまう。
エステーリアの王子・サリオキスは「ファラオ(王)の墓」を作る奴隷となって身を隠し、
サリオキスの妹・王女ナイルキアは敵国ウルジナの神官の家で侍女となっていた。
そして、サリオキスはウルジナ城でアンケスエン妃と出会う。
二人は初対面で惹かれ合うが、彼女は宿敵スネフェルの婚約者だった。
一方スネフェルもナイルキアに出会い、互いの素性も知らぬまま恋に落ちてしまう。
やがてサリオキスはウルジナに迫害された多くの部族を結集し
伝説の戦士「砂漠の鷹」となって、
スネフェルの城にむかって進撃を開始する。
画業50周年 少女漫画界の巨匠・竹宮惠子原作「ファラオの墓」
運命にもてあそばれるサリオキスとアンケスエン。そしてスネフェルとナイルキア。ふたつの恋は、戦乱の嵐に飲み込まれようとしていた。

引用:演劇女子部「ファラオの墓」特設サイト


原作は一部しか読んでいないのですが、原作が悪いわけでは決してないと思います。なんてったって竹宮惠子先生の原作。フラワーコミックス版では全8巻の大作。でもそれをぎゅっと縮めるにあたって、へんな縮め方をしてしまったのかなという感じもしました。ラストのアンケスエンの死に方も違うみたいですね…。(本舞台の一番のモヤモヤポイント、アンケスエンの死に方…)

 

それではここから、各キャラクターと演者さんについて語っていきます。

 

サリオキス(小田さくら)

小田サリオキスは主人公らしい主人公という感じ。瞳のきれいなまっすぐな少年。彼が奴隷の中にいてもなんとなく偉そうだし光を放って見えるのはわかる気がしました。相変わらず歌も演技もうまくて、さすがの一言です。才能の塊、小田さくら。
自国を滅ぼした敵国の王、スネフェルの婚約者、アンケスエンに恋をしてしまいつつも、砂漠の鷹としての立場や自国を再興したいという想いの間に挟まれて苦悩する姿……が、良かったんですけれど…もう少ししっかり見たかったなあ…。砂漠の鷹を担ぎ上げようとする人たちの傀儡に見えてしまって…。彼の意思を見たかった…。

 

ナイルキア(野中美希)

ちぇるはもう、出てきた瞬間から泣きそうになりました。ほんとに、演技も歌もうまくなったし綺麗になって…。トライアングルの時の役柄も可愛かったけどちょっと台詞棒読み感がありました…。それが、11人いる!を経て、さらに今回、死ぬほど上手くなってました。どちらかというと普段姫キャラじゃないと思うのですよ。でも普段より声高めで、可愛らしい姫に入りきっていて…。もうそれだけで感動ものです。
かなり感情の揺れ動く役だったと思います。自国を滅ぼされ、自分に「生きろ」と言ってくれた兄サリオキスがどこかで生きているだろうことを支えに生きてきたのに、彼が死んだという噂が流れて絶望して。命を森で出会った男に救われ、はじめて恋をして…。でも、兄が「砂漠の鷹」として生きていることを知り、喜んだのもつかの間、その男が自国を滅ぼした冷血な王、スネフェルだと知って動揺し、ケス大臣には利用され…。
その感情の動きを一つ一つ、しっかりと表現してくれました。圧倒的だった。
運命に翻弄された悲劇の姫が、最後、ケス大臣の策略によって処刑される直前に見せた、誇りと決意の宿ったまっすぐな瞳、スネフェルに「わたしを殺してください」と言うやさしいほほえみ、自分の出自や兄のことを最後まで口にしない強さ…。もう…泣かずにはいられないよ…。すごく良かったです…。

 

スネフェル(工藤遥)

くどぅーはほんと、こういう役が似合いますよね。サリオキスの国を初めとして数々の国を手中におさめた冷酷非道な王様で、どこか大人になりきれない、孤独で傷ついたこどものままの自分を心の中に抱えた役。
ナイルを初めて森で見かけ、自害しようとするところを止め、水を持ってきてあげるシーン。あの森でだけは、孤独で傷ついた自分をさらけ出して、素直な自分でいられるんだなと思いました。
あの森のシーンの「ほんとうのスネフェル」を知っているからこそ、玉座に座っている時の彼が痛々しくて、つらいんですよねぇ。
ビジュアルも最高。やっぱりどぅーは綺麗なお顔をしていらっしゃる。身長差を出すためにもの凄い高いヒール(底も踵もめっちゃ上げられている)を履いて出てきたので最初ちょっとびっくりしまいました。
ラストシーンでは、急な階段を駆け下りたり駆け上がったりしながら迫力ある殺陣ができるの、本当にすごいです。最終的に彼が自死するしかなかったのは本当にさびしい…。スネフェルとサリオキスが手を携えて生きていく道はなかったのかな…。

原作をチラ見した感じでは、もっと性格が捻じ曲がった感じだったので、もっと冷酷非道さとかサリオキスに対する逆恨み感出してくれても良かったのになと思いました。

 

アンケスエン(譜久村聖)

ふくちゃんはこういう上品で知的で優しいお姉さん役が多いですね。
もうちょっと違う役も見てみたい気もします。
アンケスエンは、婚約者なのにスネフェルとは喧嘩友達でぜんぜん男女の仲っぽくならないところがいいですよね。気の強い女性は好きですよ。でもサリオキスにはメロメロで恋する乙女になっちゃうところがかわいい。ナイルにとってはお姉さんのような、包み込んでくれる存在に見えました。ナイルは悲劇的な死に方をしてしまいましたけど、アンケスエンがいてくれたことで随分支えになっていたのではないかなと思いました。
でも、ちょっともやっとしたのがあの死に方。「わたしもナイルのように愛する人の手にかかって死にたい」って…まねっこかよ…。スネフェルとサリオキスの憎しみの連鎖を身を呈して遮ったっていうのはわからなくもないです。スネフェルに対しても、恋愛感情はなくたって大切には思っていただろうこともわかるんです。だから、原作は自害設定だったと聞いたのですが、そのままで良かったのではと思うんですよね…。

 

イザイ(加賀楓)

抱いて、今宵は激しく抱いて。(舞台厨ネタすみません)
本当にかっこよかった。野性味溢れる色男。最高かよ。ただでさえ足が長いのにまたヒールを履いてさらに足長くなってました。
イザイは、自分なりの信念を秘めた男で、奴隷たちをまとめる立場で偉ぶってるし親分気質なのに、砂漠の鷹には頭を垂れるのがまたカッコイイ。殺陣も重くてかっこいいし、声は張れるし、かえでぃーはほんと、舞台に向いてるなあと思いました。ソロ曲の情念の籠もった歌い方も最高に痺れました。

 

サライ(石田亜佑美)

サライは正直あんまり台詞もないんですけれど、なんだか愛嬌のあるキャラクターで可愛かったです。酒盛りシーンで、誰にも酒瓶を分けてもらえなくて、ユタにやっとでっかい酒瓶をもらったと思ったら、どこの団らんの輪にも入れてもらえなくて一人ででっかい酒瓶撫でて遠い目をしてるとこ、めちゃくちゃ可愛かった。そこにイザイがやってきてめっちゃうれしそうに酒盛りはじめるのも可愛かった。石田さんのダンススキルがあんまり生かされていないなーという感じはちょっと残念。まあ役柄的にも、今回の舞台的にもしょうがないんですけどねー。

 

ユタ(佐藤優樹)

衣装が激カワで、まーちゃんにもすごく似合っていました。話し方もミステリアスな感じで良かった。
ただ…ストーリーテラーをまーちゃんにやらせるのは…どうなのかしら…。今日噛み噛みでした。これまでの舞台ではあまりミスなかったですし、ちゃんと考えて動いて人と関係する役の方が合ってたんじゃないかなあと思います。
途中の砂漠の鷹の活躍を描く、ほぼソロに近い曲でのまーちゃんは、最高でした。ダンスも素晴らしかったし歌も圧倒的。色気爆発。

 

アリ&パビ(牧野真莉愛&横山玲奈)

かわいかったー。本当にかわいかった。まりあは演技がちょっと上手くなっていた印象です。あの甘ったれたしゃべり方が少し抜けて、ふつうの男の子に見えました。横山ちゃんは、あれで初舞台かよ…と瞠目。堂々としているし声も出ているし演技も不自然でない。すごい。ふだんの横山ちゃんにも近い感じだから自然にやれていたんですかね。だとしたらキャスティングがうまかったんですね。パビの元気少女ぶりがすごく合っていたなあと思いました。
しかしアリ役のまりあさんは本当に手脚が長くてお顔が美しい。男役、すごくいいですね。もっといろんな役を見てみたいなー。

 

ネルラ(飯窪春菜)

すごくよかったです。衣装も超似合ってました。アンケスエン様の侍女のネルラ。あの小市民感と仕切り屋感、楽しかったなあ。
アンケスエンとサリオキスが手を握り合ってるシーンを口に手を添えて「きゃー」っていう仕草しながら見ているのすごく可愛かったです。
マリタに殺されてしまうのですが、マリタが落としたスカーフを拾った隙を狙って殺される、あの殺され方も、ショックではあったんですけれどなんだかおひとよしのネルラらしくて好きだなーと思いました。

 

ルー(羽賀朱音)

はがちゃん…痩せた…!?最高に可愛かったです…。あんな美少女だったかしら…。
スネフェル様の小姓役のルー。弱いものに結構上から目線で、でも、スネフェル様に対しても結構ぐいぐい行く怖いもの知らずさというか、図太さというか、そういうところになんだかほっとしました。きっとスネフェル様もそういうところが嫌いじゃないからそばに置いているんだろうなあ。

 

ジク(尾形春水)

はーちん、意外と上手くなってたなあという印象です。
嘘の証言をしながら、お世話になっているメネプ神官から目を反らす演技がすごく印象的でした。
序盤のナイルのハープを後ろからにやにやしながら見ていて、ナイルが段差を降りるときに手を貸してちょっと目配せするシーンも。11人いる!の時の彼女の演技はなかなかに酷かったので(ファンのみなさんごめんなさい)、はーちん、こういう細かい演技もできるようになったんだーと思いました。成長を感じてちょっとうれしかったです。

 

マリタ(生田衣梨奈)

前評判でいいとは聞いていましたが、確かにすごくよかったです!!
生田さんは本当に演技上手じゃないっていう印象だったのですが、今回はお色気お姉さんの役が合ってましたし、顔も引きつったりしていなかった。台詞もしっかりなりきって言えていました。
サリオキスを罠にはめてアンケスエンの声音を真似して呼びかけたあとの、「ハアイ」の言い方。最高かよ。いろっぽいー素敵ー。
なによりスカートを翻しながらの殺陣がすごーく良かったです。たぎりました。

 

メネプ神官&ケス大臣(汐月しゅう、扇けい)

ヅカ出身の安定のお二人。しゅうさんとけいさんの無駄遣い…ってちょっと思ってしまいました。お二人とも好きだからこそ…。二人とも歌一曲ずつだしとっても短かった…。そしてけいさんのナイスバディが隠れるお衣装も残念…。(設定的にしょうがないんですけどね!!)
でもその短いお二人の歌シーンの迫力は本物で空気がビリビリ震えているのを感じました。鳥肌ものです。
メネプ神官の編み込み髪すてきでした…。彼は本作の良心ですね。めっちゃいい人だった。ケス大臣はほんと悪い役…。でも悪役だからこそのへんな色気がありました。スネフェルを傀儡にしている、野心ぎらぎらで切れ者なあの感じと、殺される直前のあの小物感のギャップがなんともたまらなかったです。

 

おわりに

まとめてみて、改めて思うのは、ほんとうに、キャストは一人一人、悪くないんですよ。むしろこれまで見た演劇女子部の娘。の関わった作品の中で一番、個々人の演技力は高まっていると思います。(これまでは出来る子とできない子の実力差がとても大きかったように思います。)
でもあんまり心をえぐってこないのはなあ…なんなんですかね…。
いや、正直泣きましたよ。泣かせどころはたくさんありましたよ。でも、何にも心に残らなかった。終わった後、つまんない、って思っちゃったんです…。大作をいろいろ省いて、単純化しすぎたのかな…。

泣くかどうかと、その作品が心に残るかは違うんですよね。それは、心を、どれだけ丁寧に描いてくれているかじゃないかなと思うんです。過去作のトライアングルも含め、わたしのすきな舞台作品は、一筋縄じゃない、ひとことで言えない感情を丁寧に描いてくれるところがすごく好きで。でも、今回は複雑に絡まり合う恋愛と政争を描いているはずなのに、いまいち丁寧さは感じませんでした。安っぽい三文芝居って感じです。
わたしは娘。のみんなの努力を知っているし、演技力も歌スキルもダンススキルも、どんどん上がってきているのを知っています。だからこそ、舞台ヲタ界隈のお友達たちにも胸を張って、「演劇女子部、すごく面白いんだよ!みんな可愛いだけじゃなくてスキルもあるし!!見て後悔しないから是非見て!!」って自慢したいんです。
でも、今回のは舞台として胸を張っておすすめできるものとは思えなかったから、すごく悔しい。今回の演出が合う人もいるかもしれないけどさ…。時間的なものやその他あれやこれやのいろんな制約があったのは確かだと思いますが、あのこたちは、もっと深いものも、繊細な心の機微も、しっかり表現できる子たちなんだよ…。それなのに三文芝居をやらせないでくれよ…。娘。が出ている舞台だったらLILIUMとトライアングルがそういう意味であまりに良かったから、ちょっと今回は残念に思ってしまいました。

もしかしたら2時間に対して、お話が壮大すぎたのかもしれませんね。リリウムは閉鎖的なギムナジウムの話だし、トライアングルもひとつの平和な星の王宮の話。そのくらいの規模感の方があっているのかもしれません。

 

以上です。

とはいえ、今週末に見る太陽の神殿編の石田スネフェルはとっっっっても楽しみです!!

 

ではまた!

 

※過去の演劇女子部、続・11人いる!の感想はこちら。

 

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