七転び八起き

観劇記録、ハロプロのこと。たまにLGBTとお仕事の話も。

おん・すてーじ 真夜中の弥次さん喜多さん双 初日感想(ネタバレあり)

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画像引用元記事観劇予報 : しりあがり寿の人気漫画がエンターテインメントな舞台に!「おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』双」 唐橋充・藤原祐規 インタビュー

初日の価値

観てきました。弥次喜多双。

始まる数日前のツイキャスかイベントかのどちらだったかで、「初日でも最後の日でも同じクオリティのものを提供したい」という趣旨の話を主演の弥次さん役、唐橋さんがされていました。
その心意気がとても好きだなと思いながら臨んだ今回の初日。本当に、初日にこれが観られて本当によかったっていうのを噛み締めました。
初日なのに完成されている。
その上、初日だからこそ、一切のネタばれなく、先入観なく観られました。これはほんとに、ネタバレなしで見た方がいい舞台だったなと後になって思います。

 

そんな弥次喜多双、見終わった直後の感想ツイートはこんな感じでした。

衝撃が大きすぎて終演直後、しばらく失語症に陥って、その後やっとのことで発した感想は、「疲れた…」「トンカツを口に詰め込まれて無理矢理食べさせられてる感じ…しかも味噌たっぷりついたやつ…。もうお腹いっぱいだよお…」のみ。他のフォロワーさんでも同じ状態になってた方が複数名いらっしゃったのが不思議なのですが、体調にまで影響して、ちょっと吐きそうになりました。表現が気持ち悪い、とか、そういうのじゃなく。衝撃的すぎて混乱して、もう頭も胸もお腹もいっぱい、っていう状態でした。
やっと数日かけて、感想をツイッターでつぶやいたり原作を少し読んでみたり、ノート使って考えてみたりして、心の落ち着きどころを見つけたものの。本当に大変な体験でした。(そう。観劇というより体験という方が近い気がしています)

 

感想……っているのかな

もうね。感想なんて、いらないんじゃないかと思ったんですよ。
「衝撃的すぎました。過去の弥次喜多シリーズの比じゃないです」
それだけでもう、あとは観てくれ、っていう。言葉はいらないからとにかくあれを感じてほしい、っていう。ただそれだけで。
もう、私の中で一、二を争うくらい好きな役者さんである藤原祐規さんが主演をしていらっしゃって、普通ならふじわらさんのここが良かっただのここが色っぽかっただの感想を述べてひとにおすすめしたりするんですけどね。そんなこと吹っ飛んでしまうくらいの、もの凄い作品だったので。
真夜中の弥次さん喜多さんシリーズの根底に流れている、「生と死とエロス」。それをそれぞれに感じ取って、衝撃をうけて、それぞれにそれぞれの方法で考えてくれたらそれだけでいいんじゃないかと思ったんです。たぶん解釈は百人いたら百通りあるし。
わたしはこのことについて、語る言葉を持たない、と思いました。
それでも感想を述べる気になったのは、この世界観を作り上げたキャストの皆様への感謝を伝えたかったからで。
なんかもう、こんなとんでもない世界を作り上げてくださって、本当にありがとうございました。いろんなものが、揺さぶられました。

 

…ということで、感想を書いていきます。一部ネタバレを含むと思いますので、これから配信観ますとかDVDで観ますという方はここから先はご遠慮ください。(絶対一切ネタバレなく観た方が楽しめるんで!!)

 

※配信は7月いっぱいです!おはやめに!

https://secure.live.nicovideo.jp/event/yajikitaF


感想とか私なりの解釈とか。

観た当時はいろいろわからなくて、さらに、配信も期間中に観るつもりですがまだ観られていないので、解釈間違ってる可能性も大きいです。ご留意くださいね。
ちなみに原作はほぼ未読です。(晩餐会とか一部は読んでますが。あと昔ダヴィンチで連載してたのを少しだけ。)

今回はメインのストーリーとしては、お伊勢さんへ向かう弥次さん喜多さんの他に、ヒサオとアケミの物語があったと思うんです。
もう序盤からわけわかんなくって、ヒサオとアケミがやっているゲームの中に弥次さん喜多さんがいて、何度も何度も「ふりだしに戻る」を押されて戻っちゃうんですよね。で、だんだん物語が進んでいくと、最後には、アケミという子は嵐の日に死んでしまっていて、その死を受け入れられなかったヒサオが、ひきこもりになっていたということがわかります。で、ヒサオは弥次さんと一緒に「アトランティス」に行って、アケミを「ちゃんと失う」ことで、やっと前に進めます。

まず、弥次喜多がゲームの中で操られているっていう情景が私はよくわかんなくって、ずっと引っかかっていました。ここはでも後々、ゲーム=いろんなプレイヤーがいろんな行動をゲームの中の人物にさせることができる=ゲームの中に無数の弥次さん喜多さんがいる=無数の平行世界の弥次喜多というふうに解釈しました。これは、シリーズの「おんTV」の「ふりだしの宿」などでも見られた世界観で、いろんな時間軸にそれぞれの弥次喜多が存在するとか、まあそんなような感じ。
このゲームの話と、そのほかこのお話全体を通じて、なんとなくシュレディンガーの猫を思い出しました。「箱の中にいる猫は死んでいて生きている」。世界は観測されるまでわからない。もしかしたら死んでいる、生きている以外にも、鳴いている、糞をしている、寝ている、とか、いろんなパターンの猫の状態があるかもしれないし。それと同じで、「箱の中にいる弥次喜多は無数の可能性の中で生きていたり死んでいたりそのほかの行動を取っていたりする」と。
そして、その無数の弥次喜多に共通することといえば、「お互いへの愛」と「お伊勢さんという希望に向かって進もうとする意思」なんだと思うんですよね。だからやっぱり、今回の舞台は陰惨な表現や怖い表現がたくさんたくさん詰まっていましたけれど、やっぱり弥次喜多は「愛と希望の物語」なんだろうなと。

でも今回ね、わたしにとっては随分と、こわかったんです。お侍さんの話と、地獄前の晩餐会の話で特に感じたのですが。
どうにもならない人の死を見送ったり、時には知らないところで人を犠牲にしたりしながら弥次喜多の二人もわたしも生きていくんだって思ったんです。本当に、紙一重のところで。
生きていくとか、進んでいくって、決してきれい事じゃないんだなって。
お侍さんの話では、お侍さんが死んでしまうって知っていて、二人は送り出します。
晩餐会では、必死に生きている人を探そうとしていた犬が、犠牲になります。そして一緒に土砂に巻き込まれたひとの中にはたくさんの死者が。みんなみんな、生きたかったのに。
観ている時にここまで考えながら観ていたわけじゃないんですけど、寒気がしたし酷く疲れたし、しばらく考えたくないって思ったのは、このこわさを肌で感じていたからだなと思います。
そして、そんなものを表現してしまう、キャストの皆さんの気迫のこもった演技への尊敬は尽きることを知りません。

 

最後に

それでも進んでいくしいちゃいちゃし続ける弥次喜多の二人にはほっとしますし、ヒサオが前に進んでくれたのも希望として捉えることができました。今作は好きとか嫌いとか、そういう次元で考えられないくらいのものでしたが、本当にすごいものに出会ってしまったなというのが私の感想です。きっと折に触れて思い出しますし、怖いし、考えたくないとも思いましたけど、それでも配信もDVDも観てしまうんだろうなという変な魅力があります。この作品に出会えてよかったです。
考えさせられて、華やかさもあって(プロジェクションマッピングも歌もすごくよかった!)、感情が揺さぶられる、演劇の醍醐味に溢れた作品でした。

 

最後に、ここまで書いてきたメインの感想とは別に、好きだなって思ったシーンやキャストさんやその他もろもろをひたすら列挙して終わりたいと思います。

 

  • 添乗員役の田代さんと福井さん。なんか田代さんが出てくるとほっとします。本編がきついだけに。福井さんはいけめんすぎて前説からびっくりしました。おでこ出してるからいけめんさが際立ちますね。
  • ボンドガールのみなさんはもう全員すんごい可愛くて魅力的でもっと観ていたいって思いました。「Yes!」ってみんなで言うの可愛すぎかよ。もう何回でも観たい。客入りの段階でボンドガールの皆様がお席の間を巡回していたのも嬉しかったなあ。個人的には古谷さんのパメラが好きです。セクシーダイナマイツ。
  • 岡田あがさ姐さんはもうどの役とかなく全部好き。やばい。女子高生と愛に生きる子持ちの母とちょっと頭おかしい感じの童女。ぜんぶがぜんぶ本物に見えるのすごすぎる。そしてお顔が美しすぎる。オミツの童女感と甲高い笑い方、目と耳に焼き付いて離れません。最高でした。
  • 米原こーちゃんと愛原さんはさすがの歌のうまさで聞き惚れました。そして二人とも演技が怖いこと怖いこと。とくに愛原さんが地獄から出てきて歌を歌うシーンが圧巻でした。
  • 足立さん、某言っちゃいけないお仕事以来初めて舞台上で拝見したのですが、すごく演技うまいし素敵でした~。独特の雰囲気のある役者さんですよね。とくに晩餐会のでかい男役の時声の出し方も動き方も含めてぜんぜん変わっていたのですごいなと思いました。彼のいう「桶」が「棺桶」だったとわかるシーンがわたし何故かすごい好きなんですよねえ。ぞっとするんですけどね。
  • 松本祐一さんは弥次喜多第一弾で出てこられたときは役柄があんな感じだったからわからなかったのですが、凄いですね。糊の里で死骸を背負ってるときの演技が個人的には凄い好きです。声の震え方とか取り乱し方とか。物凄い俳優さんだなと思いました。声もいいですよね~。あとチャイナ服のボンドガール姿、似合いました。
  • 加藤さんは明るい感じの役とか普通の人の役しか観ていなかったので、晩餐会での加藤さんは意外な感じで良かったです。眼帯がお似合いですしやっぱり上手いですね。エンディングでは私が座っている方にいたのでよく見られましたが、やっぱりダンスと歌が素敵。ボンドガールの時の加藤さんもけっこう好き。やさぐれ感が(笑)
  • 弥次喜多の二人はもう安定のかわいさと色っぽさ。今回はふじわらさんがより原作っぽい喜多さんに見えました。晩餐会のはじまりの時の、ろうそくがあって、ぼんやりしている喜多さんが加藤さん演じる義眼の男を目線だけ回してしずかに見つめているシーンが悪夢感満載ですごく印象に残っています。やっぱりふじわらさんの演技好きだあ、と思いました。

 

以上です。
2018年夏に再演も決まったことですし、弥次喜多のこれからが楽しみです。


ではまた!

 

記念すべき一作目のDVDとその当時の感想はこちら。(一年半も前の感想なので文章とっちらかっててすみません!)

おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』 [DVD]

おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』 [DVD]

 

 

テレビシリーズの紹介記事はこちら。

 

※全編通した感想書けてなかったことに今気づきましたがテレビシリーズの後編めっちゃ好きです。ふじわらさんの細かい表情演技とかおでん回のほのぼのわけわからん感とか、離れ離れになる回の内容&エンディングの衝撃度の強さとか、もろもろ。最終回ボロ泣きしました。