七転び八起き

ハロプロと観劇と、恋人のキツネさんとの同性同士の同棲生活のこと。

LGBTフレンドリーな不動産屋さんで家を借りようとしてみて。

引越ししたい病

ときどき引越ししたい病に罹患することがあります。少し前に、パートナーと二人でその病に罹患して不動産屋巡りをしている最中、「LGBTフレンドリーであることを売りにしている不動産屋さん」に行ったときのことを書きたいと思います。まーひどいもんでした。どこの会社とは言いませんけれども、家探しでお困りの方のために、どんなふうだったのかを書き記しておきたいと思います。

 

不動産屋さんに連絡する

LGBTフレンドリーであることを表明している不動産屋さんって、「LGBT 賃貸」で検索すると何件か出てきますよね。前々から女性二人でカミングアウトせず家を借りることに不便を感じていたので、そういう不動産やさんに興味を持っていました。カミングアウトした状態で家を借りる相談ができるなら楽だなあと思っていたのです。

まずはメールで問い合わせをすると、数日のうちにその不動産屋さんから連絡がありました。これ、実は結構待ったほうです。おそらくですが、不動産業界の営業さんってメールは即レス、なるべくすぐ電話、っていう教育が浸透しているんじゃないかなぁ。大概の不動産屋さんは問い合わせすると即日メールや電話が来ます。きっとLGBTフレンドリーな不動産屋さんに興味のある人も多くて、問い合わせが多いんだろうな、だから遅くなったんだろうな、と思いました。

そして電話でお話してみると、なんだか感じは良さそう。女性二人で住みたくてっていう要望もすんなり受け入れてくださりました。ひとつだけひっかかったのは、「いらっしゃる時は丸一日お時間をあけておいてくださいね」という言葉。まだ初回の問い合わせなのに、そんなに時間かかるかなぁ?と少し思いましたが、その時は深く考えずに了承しました。

 

行ってみる

そうして、約束の日にパートナーのキツネさんと二人で不動産屋さんに出かけていきました。対応してくれたのは、元気が良さそうな感じの男性の営業さんで、電話でも伝えておいたものの、改めてということで物件の希望条件を聞かれました。

そこでわたしたちの関係と、親にはカミングアウトしていない上に以前も保証人になるのを拒絶されそうになったという経緯があり、保証人不要の賃貸を探したいことなどを伝えました。

頼もしげに分厚い胸板を叩き、「わかりました。安心して任せてください」と重々しく頷いたその人は、「わたしはこれまでもLGBTの方のお部屋探しをいくつも手伝ってきましたが、ちょっとしたコツがあるんですよ」と誇らしげに仰りました。

わたしたちは前のめりになりました。そんなコツがあるなら是非聞いてみたい。これまでルームシェア物件を探しても数が限られていたり、親に保証人にならないと言われたり、いろんな苦労があったけれど、もうその苦労をしなくていいのかもしれない。そう感じてワクワクとすらしていました。

しかし、その後の言葉に、わたしたちは耳を疑うことになります。

「ルームシェアっていうとそれだけで物件数は減っちゃうでしょう。だから、ルームシェアと言わずにどちらかお一人が家を借りて、もう一人は黙って住んじゃえばいいんですよ」

 

………え、それがコツ?

……転がり込むスタイルってこと?(´⊙ω⊙`)

 

「心配ないですよ。普通は大家さんは気づきません。気づいたとしてもその段階で言えば全く問題ないです」

そんなことを、その人は仰います。

「あの…でも、わたしたち、今の家に入居した時に、二人でルームシェアしてるって言ってるけど実は三人で住んでるんじゃないかって何故か大家さんに疑われたことがあって…。じつは片方の髪を切った前後の姿を見て勘違いしたらしいんですが…。大家さんに無断で住むって、そういうことが起こるんじゃないですか?それで契約違反だって言って追い出されたりしたら…」

わたしたちがそう反論しても、その人は「心配ありません。そうなったら届け出ればいいだけです。追い出されたりはしません」と無駄に自信満々。その根拠も教えてくれません。

釈然としないままながら時は過ぎ、不安を残しながらも、その後彼が探してきた物件情報を元に、午後は気になった内見に行くことになりました。

 

内見に行く

ともあれ、内見は楽しいもので、こんな部屋だったらこんな生活がしたいな、でもここは理想と違うな、なんて考えながら何件かの家を見て回りました。でもやはり、最初の「LGBTが部屋を借りるコツ」がひっかかっていたので、その日は見るだけで帰ろうと思ったのです。

しかし、その人は最後に見た家で、もう帰ろうとしたときに仰いました。

 

「で、ご契約はどうされますか?見ていただいてちょっとでもいいなと思ったら、とりあえず申込入れておかないとこの時期すぐに埋まっちゃいますよ。とりあえず申込だけでもしていきませんか?」

 

押し売りじゃんかー!!!!( ;∀;)

 

なんとなく、扉を背にする方向で立っているのが怖くて。このまま契約しないと家に返さないつもりだったらどうしよう、なんて一瞬考えてしまいました。その後、しつこい営業を固い意志でなんとかかわして帰れたものの、もうぐったりしてしまいました。わたしの休日を丸一日費やしてこれか…とがっかり。

 

帰宅後冷静になって…

後から考えてみれば、「LGBTは家が借りにくい」っていう弱味につけこんだ商売の仕方だったんでしょうね。怒りすら湧きます。

なんだか話し方もやたら恩着せがましかったし、もったいぶって大したことない上に危険のある「コツ」を伝えてくるのも下に見られているなと思ったし、「こっそり住んじゃえばいい」なんて、お前たちみたいな日陰者は「ふつうの」夫婦と違うんだから妥協してコソコソ生きなきゃいけないって言われてるみたいですごく嫌でした。

わたしは、たとえば、カミングアウトした状態で相談しても、その不動産屋さんが、ルームシェア不可でも夫婦ならOKの物件なんかで大家さんとしっかり交渉してくれるのかと期待していたんです。多少打率が低くなったとしても、わたしたちに代わって交渉してくれるならそれ以上心強いことはない、と思っていたんです。それが大きく裏切られた気持ちでした。

 

ほかの普通の不動産屋さんに行く

ちなみに、その後結局引越しは諦めて次の機会に、ということになったのですけど、諦める前に何件か別の不動産屋さんにも行ってみたんです。

そうしたら、落ち着いた感じのお兄さんが、

「女性二人のルームシェアですね。たしかにルームシェア可能物件で共同で契約をしようと思うと数が減るんですが、この年収ならお一人が借主になる形でも契約はできると思いますよ。もう一人は同居人ということで最初にしっかりと届け出ましょう」

と丁寧に親切に相談に乗ってくださって、感動してしまいました。これがよき接客というものだよ…!ちゃんと相手の立場に立っていろんな選択肢の中からどれが一番いいか考えてくれるっていうのがいい。押し付けではなくて、提案。しかも、誰かが嘘をついたり隠したりせずに、みんなが納得できる方向で双方と交渉していくのが、人と人の間に立って仕事する人のあるべき姿だと思うのですよ。感動しすぎて、その後思わずお礼のメールを送ってしまいました。(結局その時は住み替えをしなくて、お仕事をお願いする機会がなくてとても残念。)

 

 

LGBTフレンドリーとホームページに書いてあるからといって信用してはいけない

 教訓めいたことを言うならば、LGBTが賃貸物件を借りようとするときの不動産屋さん選びのコツは、LGBTフレンドリーであるという看板を掲げているということではなく、親身になって相談にのってくれる人かどうか、大家さんとの交渉力や交渉ノウハウがどれだけあるかということだなと思いました。

もちろん、LGBTフレンドリーの看板を掲げていて、かつ、ちゃんとした不動産屋さんもあると思いますよ。でもいわゆる「ピンクマネー」を狙ってとりあえず参入してきた、本当には理解していない人たちも多分いて。注意しないといけないなと思いました。

「長く住んでくれないんじゃないか」「家賃を滞納するのでは」「部屋を汚すのでは」とへんな心配をされてルームシェアと偽ってもカミングアウトしても選べる物件が減ってしまいがちな同性パートナー同士も、書類の男女表記と見た目が違ってしまいがちなトランスジェンダーの方が家を借りる時も、カミングアウトするかしないか、カミングアウトしたとしたら受け入れてもらえるか、カミングアウトしないならどんなふうに自分たちの「本当」を隠すか、必ず悩むのではないかと思います。こんな状況ってほんとうに不平等だと思います。不動産広告最大手のSUMOさんもLGBTへの配慮を示してくださっていますが、こんな企業がもっと増えたらいいのになと思います。